猫ブログ運営にいちばん必要なこと。

   

読者の方々はご存知であろうが、私は猫を2匹飼っている。

勤め先の動物病院に捨てられていたところを引き取ったものだ。

引き取ったのは、ほとんどその場の勢いだったと言ってもいい。

SNSで里親募集をかけたところ、「いいね!」と「応援してます」という猫の運命の好転にはほとんどまったく寄与しないコメントばかりがついて、誰も里親として名乗り出るどころかシェアすらしないことにカチンときて、そんならもううちで飼うけんね、と募集を引っ込め、ペット可のアパートに引っ越して連れてきたのだ。

自分が獣医で、職場が動物病院、という条件でなければできないことだ。猫の登場は、完全に想定外のできごとだった。

しかし、2匹をうちに連れ帰った時、私はしめしめと思った。

猫といえば、ウェブでアクセスを稼ぐためのチートツールみたいなものだからである。

幸い、猫を撮るのにおあつらえ向きのカメラとレンズを、私は持っていた。

それを駆使し、こいつらをブログに散りばめれば、必ずやアクセスは急増し、少なくとも飼育費を相殺するくらいの広告収入をもたらすことであろう。

私は、そのように算盤を弾き、ケージの中で不安そうにしている猫たちに不敵な笑みを贈った。

……猫たちは怯えていた。

その日から、3年が経過した。

今、このブログは「とかげもどきのしっぽ。」と題して、爬虫類ネタをお届けする内容になっている。

散りばめられた写真は、ニシアフリカトカゲモドキばかりである。

猫はどこへ行ったのだろう?

猫よりもトカゲモドキの方がアクセスが稼げるとふんで、乗り換えたのだろうか。

まさか。

結論から言うと、私は猫ブログを始めることができなかった。

カメラを常に携え、ここぞというシーンでシャッターを切りまくったのであるが、それらの写真をほとんどまったく、ブログに掲載することができなかったのだ。

なぜか。

背景が汚すぎたからである。

お恥ずかしい話であるが、私は片付けが苦手である。それはもう病的と言ってもいいくらいである。部屋の中は常に散らかっている。ゴミさえ落ちていることがある。

猫を撮影すると、その、もうフォトショップでもどうにもならないレベルで散らかった部屋が、どうしても背景に写り込んでしまう。

そんな見苦しいものを、ウェブで公開するわけにはいかない。見る人を不快にさせるし、猫の印象が薄れるし、ひょっとしたら炎上さえするかもしれない。

そんなわけで、せっかくのいい表情が撮れても、背景に写り込んでいるゴミのせいで公開できない、ということが続き、私は猫ブログを断念したのである。強行すれば、恐らく別のブログになってしまう。

結果として、私はトカゲモドキブログをやっている。

トカゲモドキならば、ケージ内をクローズアップすればよく、部屋が汚くてもあまり関係ないからだ。

それはそれで楽しんで書いているが、当然のことながら、アクセス数は、成功した猫ブログには遠く及ばない。

トカゲが猫に勝てるわけがない。

アクセス解析画面を見ながら、私はしみじみと思う。

猫ブログをやるためにまず必要なのは、いいカメラでも撮影技術でもない。

綺麗な部屋および、部屋を綺麗に保つ技術なのだ、ということを。

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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