体感型動物園iZooのこだわりがすごい

      2016/05/16

 iZooに行ってきました。
 2012年12月、伊豆にオープンした新しい動物園です。
 現時点で300種、1500匹の爬虫両生類「だけ」を集めた動物園ということで、爬虫類好きとしては居ても立ってもいられず、実家に帰る予定を1日遅らせて行ってきました。
 「体感型」というコンセプトに対する期待と、「爬虫類だけで大丈夫か?」という(失礼な)不安を抱えながら。

外観

iZooの外観

 冬休みということもあってか、園内には家族連れが目立ちました。
 様子を見ていると、大半の家族は、特に爬虫類が好き、というわけでもない様子。それでも、子どもたちは大喜び、お父さんお母さんも、間近で見るヘビやトカゲに関心を寄せているようで、爬虫類好きの1人としては嬉しい限り。後者の不安は解消されました。爬虫類、人気を集めているようです。
 結果としては、白輪剛史園長とお話できたこともあり、とても充実した時間を過ごすことができました。
 来園するたびに何かが変わるとホームページで謳っている動物園ですから、順番に紹介しても仕方がないかもしれませんので、キモのところだけ、書いていきたいと思います。
 iZooにはいくつかの、斬新な展示がありました。
 ひとつめは、フトアゴヒゲトカゲの屋外展示です。

フトアゴヒゲトカゲの屋外展示施設

フトアゴヒゲトカゲの屋外展示施設

 フトアゴヒゲトカゲとは、オーストラリアに生息する中型のトカゲで、人によく慣れ、飼いやすいことからペットとして人気がある種です。見栄えもよいので、動物園でも定番の展示動物のひとつになっています。
 ペットとして飼われる場合や、ほかの動物園で展示される場合は、室内で加温飼育されるのが普通です。飼育書を読んでも、温度は28度以上を保ち云々、といったことが書かれています。
 そんな動物をiZooではなんと冬でも、屋外飼育しているのです。
 真面目な飼育者が見たら、仰天する光景でしょう。
 しかし、本来生息しているオーストラリアの気候を考えれば、不適切な飼育というわけではありません。彼らの生息域の南限は本州と同じくらいの緯度であり、伊豆半島の冬くらいであれば、問題なく越冬できるからです。茂みの中に潜り込んでじっとしている姿は確かに寒そうですが、それは野生の個体もそうしていること。むしろこちらの方が、彼らの「本来の姿」と言うことができます。
「もちろん、雨のよく降る日本の気候は、現地とは違います。でも、室内の恒温環境の中にいるよりは本来の姿に近い。できるだけ、本来の姿に近いものを、見て欲しくて、こういう展示にしているんです」
 とは、お話を伺った白輪剛史園長の弁。
 同様に、冷涼な環境に分布している何種かのカメレオンも、広場で屋外飼育されています。広い場所に放し飼いにされているカメレオンはほんとうに見つかりません。実際に森に入っても、こんな風に素通りしてしまうのかと感心させられる展示になっています。

カメレオンの屋外展示施設

カメレオンの屋外展示施設

 動物園で見ることができるのはあくまで飼育下の動物でしかありませんが、それをなるべく、本来の姿に近づけて見せることが、この動物園の理念のひとつであるようです。
 ふたつめは、通路を歩くカメ。

通路を歩くアルダブラゾウガメ

通路を歩くアルダブラゾウガメ

 サークルで囲われているとか、そういうことではなくて、普通に通路を散歩しているんです。カメが。
 脱走ではありません。だって、飼育員さんはみんなスルーしていましたから。それどころか、餌やり用の小松菜を持った子どもに向かって、「ほら、あっちの子にもあげておいで」って言っていましたから。敢えて歩かせているんです。
 触れ合いを売りにした動物園であることは知っていましたが、ここまで距離が近いというのは驚きでした。サークルのような「動物の領域」に人間が入っていって触れ合うのではなく、通路という「人間の領域」でカメに出会うというのは、感覚としては子どもの頃、あぜ道を歩いていて用水路でカメを見つけた時に近いものがあります。そういうときの心の弾む感覚は、動物園で珍しい動物をガラス越しに見るときのそれよりも格段に強い。これを演出しているのは素敵だと思いました。小さい子は嬉しいでしょう。
 みっつめは、とにかく、触れ合い。
 テーマソングで「爬虫類に触れるよ!」と歌っているだけあって、徘徊するゾウガメ以外にも、動物に触る機会がたくさん設けられています。固定されたコーナーとして、外国産のダンゴムシやヤスデやゴキブリ(!)に触れるコーナー、ヘルマンリクガメに触れる(持てる)コーナー、リクガメへの餌やりコーナー、ニシキヘビとの記念撮影コーナーがありますがそれ以外に、飼育員さんがボールニシキヘビやサバンナオオトカゲを持って館内を歩いており、希望者には解説付きで持たせてくれるというサービスを行っています。さらには前身の伊豆アンディランドから引き継いだゾウガメとの記念撮影サービスも。

サバンナモニター

飼育員さんがふれあい用にサバンナモニターを連れ歩いている

餌やりコーナー

餌やりコーナー

 これだけ、動物を間近で見る、触る機会を提供していることにも、この動物園の理念がありました。
 白輪園長曰く。
「アナコンダっているでしょ。あれはね、大きくなるとほとんどひとつの場所から動かないんですよ。排泄もずっとどこでして、どろどろしたようなところにずっと留まって、通りかかった獲物を捕まえて食べている。するとね、アナコンダのいるところには独特の“アナコンダ臭”がしてくるんです。現地の人なんかは、姿が見えなくても、臭いでアナコンダがいるかどうかわかる。動物を理解するっていうのはそういうことで、見るだけじゃなくて、触ったり、臭い嗅いだりした方が、よりレベルの高い理解になるんですよ」
 動物のことを、より深く理解して欲しいから、実際に触れて見て欲しい、ということなのです(ちなみに、タイミングが合えばアナコンダにも触れるようです)。
 その他にも、「キャプションがあるのに動物がなかなか見つからない」とか、「キャプションに書かれてない動物がいる」など、どちらも敢えてやった動物園はないだろうと思える展示の仕方をしたり、屋内飼育でも「そんなところに潜むのか」といった目から鱗の知見の得られるようなレイアウトがされていたりと、楽しませてくれる展示がたくさんありました。
 このような凝った作りをしている理由はひとえに、「爬虫類に対する誤解や偏見を解消したい」という思いのようです。
「ヘビはぬるぬるしてるから嫌いって人がいるけど、ヘビ、ぬるぬるしてないじゃないですか。好きになってくれとは言わないけど、正しい姿は知って欲しいんですよ」
 と、白輪園長はおっしゃいました。
「で、正しい姿を知った上で、飼ってる人には、飼育の参考にして欲しいですね」
 とも。
 ここは、爬虫類の卸業をやっているレップジャパンの代表らしい言葉ですね。
 こういった理念を実現させるため、iZooでは今後新しい展示を打ち出していく予定だそうです。
 みんなが「えっ!」っていうようなことをどんどん仕掛けていきたいというiZooの、今後の展開に期待です。

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1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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