引っ越しの顛末。

      2016/04/06

 転職に伴って、引っ越しをした。
 静岡県富士市から千葉県船橋市まで、およそ150kmの移動である。
 たくさんの動物を連れてこれだけの距離を引っ越しするのはなかなか骨の折れる作業だったので、その顛末を書いてみたいと思う。
 引っ越しが完了するまでに、私は都合3回、富士と船橋の間を往復した。動物たちを移動させるためである。私の乗っているコンパクトカーでは、1度の往復で、とてもすべての動物を運ぶことができなかったのだ。
 契約開始日は3月27日に設定してあったので、翌28日に、まずクサガメを移動させた。まだ気温が不安定で、屋外飼育をしているクサガメにはいずれにせよ餌を与える予定はなかったというのが理由である。エアコンのないまま5日間ほど新居で放置されることになるので、温度変化に強いタフな種である必要があったのだ。飼育容器に用いているウォーターランドタブと、その足場となるコンクリートブロックを積むと、後部座席を倒しても他の荷物が載らなくなってしまうので、本格的な引っ越しの前に移動させてしまおう、という魂胆もあった。移動中のクサガメ臭で他の動物が気持ち悪くなったらいかん、という理由もある。
 移動中は案の定、車の中にクサガメ臭が充満する。もっとも、東名高速走行中は、道路がなめらかでほとんど揺れないので臭いはあまりでなかった。街中と、高架ばかりで道路に継ぎ目ばかりの首都高がやばい。燃費を気にしないのであれば、窓を開けて走った方がよいと思う。移動中は、当たり前だけれど容器の水は抜いている。
 新しい部屋に着いたら、さっそくウォーターランドタブを設置する。1階で、小さいながらテラスがあり、庭がついているので、そのテラス部分に置くことにする。
 この時点で、念のため隣のお部屋にはご挨拶。留守中にカメが逃げたり、予想外に気温が上がって飼育水から臭いがたったりするおそれがゼロではないので、あらかじめ「カメがいます。何かあったら連絡ください」と伝えておく。
 当然のことながら、この時点で少なくとも水道と電気は使用開始しておかなければならない。まあ、ガスと違って開栓手続きもないので、後から申請でもよいけれど。
 次の移動は4月1日。タイムラインでご覧になった方もいらっしゃるだろうが、クサガメ以外の爬虫類を移動させた。
 今回は、基本、普段飼育しているケージに入れたままの輸送である。シンプルなレイアウトで飼育しているので、移動の際の衝撃でレイアウトが崩れたり、生体が挟まれたり、ということが考えにくかったので、そのまま運ぶことにした。ただ、これはトカゲモドキやアオジタトカゲといった地表性でそれほどダッシュ力のない種だからできることではあると思う。子イグアナやウォータードラゴンみたいに驚いてバタバタ走り回るものや、アカガエル系のようにジャンプして壁に激突する恐れのあるものは、別途プラスチックカップなどに移した方が安全だろう。ボールパイソンだけは布袋に入れた上でケージに入れて輸送した。急ブレーキを踏むとケージの中で生体がふっとぶ可能性があるので、安全運転が肝要である。オービスがなくても時速100km以下。まあ、時間は大して変わらない。
 ケージを並べていたラックも一緒に運び、さらに新居近くのホームセンターでラックを買い足し、ケージをセッティングする。終わったら、水容器に水を張り、霧吹きをして水を飲ませる。移動でくたびれているはずなので、この時点では餌は与えなかった。というよりも、そもそも与えられなかった。冷凍餌は運ぶと傷みそうなので、引っ越しが終わってから買い直す予定だったからである(給餌を調整して、ちょうどなくなるくらいを狙ったが、少し残ってしまった……。大量に残ってしまう場合は、クール便で送った方がよいかもしれない)。明日、買い直した餌が届くので、転居後発の給餌をするつもりでいる。移動時間は3時間くらいだったが、輸送から今日までの間で、特に体調を崩した個体は出ていない。モドキたちは餌を欲しがっている(ごめんね)。
 ちなみに、この段階で、それまでグラステラリウムで飼育していたリクガメをグッドロックに移した。ヨツユビリクガメとはいえリクガメが収容できる程度のガラスケージはとても重く、そもそも購入して前の家に設置した時点で、「これは、もう二度と動かしたくない……」とうんざりしていたのだ。えんやこらと新居まで運ぶつもりは毛頭なかった。そこで、カメをグッドロックに移して運び、グラステラリウムは富士で処分してしまった。大型のガラスケースは重いし割れる恐れもあるし、およそ引っ越しには向いていない。見栄えはとてもよいが、これは終の棲家を手に入れて人生が上がりに近づいた人がようやく手を出せる夢のグッズなのではないかと思う。ふらふら生きているハンパな若造が持つものではなかったのだ。若者は気をつけるように(笑)。
 それはさておき、一昨日、4月3日に、猫とともに完全に新居に移ってきた。気をつけなければいけないのは、この距離の移動だと、引っ越し屋さんの輸送は2日がかりになる、ということである。つまり、一晩まるきり家財のない状態で過ごさねばならない。近くに実家や友人宅があれば泊めてもらったり、天涯孤独であればビジネスホテルを利用する必要があるだろう。あるいは、寝袋を用意しておくか。私は猫たちの住環境を整えた後、千葉の実家に帰った。また、必要な物をうっかり引っ越し屋さんに預けてしまうと、困ったことになるので注意が必要だ。私はキャットフードを引っ越し屋さんに預けてしまったので、新たに購入するはめになった。
 と、いうわけでいろいろごたごたしながら今日にいたる。1度の移動なら旅行みたいで楽しいが、3度となると飽きてくる。終盤は居眠りしそうで危なかった。翼を授けてもらってなんとかしのいだ次第である。今日は、やっとゆっくり眠れそうでほっとしている。ひょっとしたら、ハイエースでも借りて1往復で済ませたほうが、金銭的にも精神的にも肉体的にも楽だったかもしれない。
 なお、爬虫類部屋のエアコンはまだついていない。引っ越し屋さんは運んではくれるのだが、取り付け・取り外しは別の業者へ委託となるからである。エアコンの業者は、引っ越しの何日か前にやってきてエアコンを取り外し、引っ越しの何日か後にエアコンを取り付けに来る。だから、引っ越しの前後で、数日間エアコンの使えない期間が生じてしまう。今の季節ならば、もう暖突とプレートヒーターで最低限の保温には事足りるから安心だけれど、普段、温室などを利用せずエアコンで管理をしている場合は、真冬・真夏の引っ越しは厳しいこともあるかもしれない、と思う。まあ、そんな中途半端な時期に引っ越しする人もあまりいないとは思うけれど。それに、ワンルームマンションで爬虫類と同じ空間で暮らす、という人には関係のない話ではある。ワンルームなら、備え付けのエアコンで事足りるから。
 ともあれ、無事、引っ越しは終了である。関東圏は家賃が高くて参るけれども、ぼちぼちやっていきたいと思う。
 しばらく東名は走りたくない。

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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