クサガメと安全運転
2016/03/18
今日ほど、安全運転の大切さを思い知った日はない。
昨日実家に帰省した私は、今日、ずっと実家に預けっぱなしだったクサガメとヨツユビリクガメを引き取って富士に帰ってきた。
片道4時間、カメを連れてのドライブである。
実家を出発した直後、私はつい、ちょっとラフな運転をしてしまった。
ちょうど、助手席の足元に置いていたクサガメが、水槽にいれっぱなしにしていた流木に登っていたところで、彼は私が発生させた無用のGによって流木から転げ落ちた。
まずい、と思った次の瞬間、案の定、車内に異臭がたちこめた。
クサガメ臭である。
クサガメは、身の危険を感じると、脇にある臭腺から独特の臭いを放出する。それが、「臭亀」の名の由来となっているのだが、流木から転げ落ちた衝撃で、彼はその臭いを盛大に発散したのである。
小さなカメでもその臭いは強烈で、閉め切られた車内ではむせ返るほどであった。
私は臭いを追い出すため、慌てて車の窓を全開にした。東京湾岸の空気は工場その他の影響によりそれはそれできついものがあるが、密室のクサガメよりはマシだと判断をした。
そして思った。
この調子で4時間も運転をしていたら、海老名あたりで多分死ぬ。
緩衝材を入れてあるからクサガメは死なないだろうが、私が死ぬ。
後部座席のヨツユビリクガメも危ないかもしれない。
安全運転を心がけなければならない。
だから、それ以後、私は、律儀な安全運転を心がけた。
なるべくエンジンブレーキで減速する。交差点は十分に減速してから曲がる。インターチェンジとサービスエリアの出口は加速車線を最後まで走ってゆっくりスピードを上げてから合流する。無理な割り込みはしない。首都高はちゃんと60キロで走る(笑)。
それはもう、昨日免許取ったんです、くらいの丁寧さを発揮した。
途中、うっかり車間距離を詰めてしまったところへ割り込みされたせいで悪夢はもう1度だけ再現されたが、おかげでそれ以外は、クサガメに危機感を抱かせずに乗り切ることができた。
驚いたのは、うちへ辿り着いたときである。
メーターを確認したら、実家からうちまでのガソリンの消費量が、なんと行きの3分の2くらいに収まっていたのだ。
普段は、よほど燃費の悪い走り方をしていたらしい。
安全運転って大事だなぁ、と実感した次第である。
クサガメに怯えながら走ったおかげで、私ははからずも地球とお財布に優しい走りを実現してしまった。
これからも長距離を走る時には、クサガメを助手席に乗せておくといいのかもしれない。
そんなことしてたら、たぶん一生カノジョができないだろうけど。