爬虫類趣味の成り立ちがわかる。

      2016/05/09

 ビバリウムガイドの73号を読む。
 巻頭特集では、アジアンタートルクライシスを扱っている。
 アジアンタートルクライシスとは、ざっくり言えば中国人による乱獲がもたらしたアジア産のカメの激減のことである。
 中国人は、古来より食用、薬用としてカメを利用してきた。それ自体は尊重されるべき文化であるとも言えるが、問題は彼らの数が多過ぎることだった。あれだけの人口による捕食圧は、どんな生き物にも跳ね返せない。21世紀に入る頃には、中国人は国内のカメを食い尽くし、外国のカメを輸入しなければ需要を賄えないようになってしまった。結果、アジアのあちこちでカメが乱獲され、個体数が激減し、CITESによる商取引の規制が必要なまでになってしまった。
 それがアジアンタートルクライシスだ。
 加えて、急激な経済発展を果たした中国は、観賞用動物としても、カメを消費するようになった。悪名高い彼らの「爆買い」は、今や飼育動物にまで及んでいる。投機的な購入も増えた。その結果、多くの種で価格の異常な高騰が見られるようになり、WC、CB問わず、手に入れることが難しくなっている。
 そんな、アジアのカメを取り巻く現況について、巻頭特集では概説されている。
 一読すると、つい、中国人ひどいな、と思ってしまう。
 が、よく考えてみると、日本人にはまるで、中国人を非難する筋合いがないことに気がつく。
 乱獲について言えば、日本人だって、似たようなことをしている。ウナギやクロマグロが、日本人の消費によって危機的な状況になっていることはメディアでも報道されている通りだ。野生動物の利用方法についていえば、日本は中国を非難できる立場にはない。
 爆買いや投機的購入だって、「いつか来た道」というやつである。1980年代から1990年代にかけての日本は、今の中国と同じように、バブル景気に沸いていた。有り余ったカネにものを言わせて不動産を買い漁り、地価の高騰を招いたり、価値の分からないまま投機目的で貴重な美術作品を蒐集したりして世界の不興を買った。醜く見える中国人の振る舞いは、バブル期の日本人の振る舞いそのままなのだ。そしてもちろんそれは、爬虫類にも及んでいた。アメリカあたりからは、「日本人め」と思われていたという。重要なのは、そんな過去があったから、今、私たちは当たり前のように爬虫類を飼えているということだ。こちらについても、偉そうなことを言える立場にはないのだ。
 今回の巻頭特集は、野生動物を利用するとはどういうことか、爬虫類を飼うとはどういうことかについて、深く考えさせる内容になっている。
 ぜひ、ご一読していただければ、と思う。

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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