トカゲモドキの食事の不思議。

   

 ニシアフリカトカゲモドキは、意外に餌にこだわりをもつ動物である。
 昆虫食なんだからコオロギあげとけば楽勝、と思っていたら、思いのほか苦戦することがある。
 近所のホームセンターのコオロギには見向きもしなかったむぎが、月夜野ファームの冷凍コオロギはぺろりと食べた話は、このブログにも何度か書いた。
 くぬぎやれんげは、冬になるとワーム類しか食べなくなる。
 もちろん、カメレオンなんかに比べたらかわいいものだけれど、個体ごとに、けっこう癖があるのである。
 好みだけではなく、食べ方にも個性がある。
 すべての個体が同じように、餌に反応するわけではない。
 たとえばべにばなは、ケージを開けて、すぐに餌を差し出しても食いついてこない。私が来たことに気づいて目を覚まし、しばらくケージの中をうろうろ動きまわった後で、ようやくエンジンがかかって食べ始める(エンジンがかかると勢いがすごい)。逆にふじは、ケージを開けて、「ん? なんだ餌か?」とこちらを伺っている間に間髪入れず餌を与えなければいけない。「餌じゃないのか」と早合点して、ケージの中をうろうろしはじめてからでは、コオロギを見せても興味を示さなくなってしまうからだ。
 ぶなやすおうが相手なら、反応が悪くても、はじめの1匹をとりあえず口に押し付けて食べさせてしまうのがキモだ。そうすると、2匹目から飛びかかってくるようになる。体の大きいぶなはそこから10匹以上食べたりする。彼らの場合、いきなり飛びついてこないからといって、お腹が空いていないとは限らないのだ。
 ニシアフリカトカゲモドキのように入門種とされる動物であっても、こんなふうにいろいろな個性がある。飼うときにはそれぞれに合った接し方をしなくてはいけない。
 と、ここまで個性について書いてきて、いきなり「ニシアフリカトカゲモドキ一般」の話をはじめるのは恐縮なのだけれど、やつらの採餌行動について、このところ、疑問に思っていることがあるのでそれについて書きたいと思う。採餌の癖、という話で思い出した。
 やつらは、なぜだか、1度、「餌のテンション」が落ち着いてしまうと、満腹かどうかに関わらず、餌に対する興味を失う。途中でコオロギが足りなくなったとか、来客があったとかで給餌を中断したとき、やつらが、「ああ、もう餌は終わりか」と判断してしまうと、もう、あとから続きを与えても食べようとしなくなるのである。そうでなければ10匹くらい食べる個体であっても、3匹目で中断されると、もう食べなくなる。次の日には、おなかが空いたとアピールしているのだから、食欲不振だったり満腹だったりするわけでもない。お腹が空いているなら食べればいいのに、その日は食べない。まるで1日の食事回数は1回まで、と心に決めているみたいに。
 それが、ニシアフリカトカゲモドキ全般に通用する特徴なのかはわからない。でも、少なくとも、うちにいる個体はみな、そんな傾向がある。
 これが、最近、とても不思議だ。
 このような行動をするのには、なにか、生存戦略上の利点があるのだろうか。続きを食べてはいけない理由が、どこかにあるのだろうか。
 それがどんなものか、まったく思い浮かばないが、このところ、そんなことをいつも考えているのである。
 答えを知っている人がいたら、教えていただければ幸いである。

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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