かわいいレオパと食事をシェアして幸せな時間を

      2016/02/21

 飼っている動物と食べ物を共有することは、飼育者に大きな喜びを与える体験である。
 バナナを1本剥く。4分の1くらいを折ってイグアナに与える。日向ぼっこしながら並んでバナナを食べる。そういうのはとても楽しい。犬用のケーキなんてものが売られたりしているのも、その楽しさを味わいたい飼い主が多いからだろう。
 職業柄、人間用に調理されたものを動物に与えることや、栄養バランスを崩すような与え方、偏食を助長するような与え方をすることは推奨できないが、ペットと同じ物を食べたいという欲求自体は、切って捨てることのできぬものである。そもそも「愛玩動物」というのは、そのテの欲求を満たすことを目的として存在している側面もあるのだし。
 だから、ペットの健康を害さぬ範囲で、工夫を凝らして頂ければよろしいかと思っている。
 そこで爬虫類である。
 今、イグアナの例を挙げたように、植物食の爬虫類であれば、食べ物をシェアすることは比較的簡単である。たとえばカボチャを炊くときに、一部を味付けしないで茹でるだけにしておけば、リクガメと一緒にそれを食べることができる。野菜スティックなどはそのままほいと与えればいい。そうやって食べ物のレパートリーを増やすことは、栄養バランスの向上にもつながる。
 肉食の爬虫類の場合も、量に気をつければ、シェアできないことはない。ササミやハツなど低脂肪高タンパクなものにサプリメントをまぶして与えるなら、同じ物を食べることは可能である。
 そして昆虫食の爬虫類だ。
 それはさすがに難しいのでは、とあなたは思うかもしれない。彼らと我々とでは食べる物がまったく違うじゃないか、と。たしかに、彼らの餌は普段人間が食べているものとはまったく異なっている。コオロギ、ミルワーム、カイコにゴキブリ。そういったあたりが彼らの主食だ。人間の食べ物など、きっと見向きもしないだろう。
 餌付けを工夫すれば、ひょっとしたら、肉を与えることもできるのかもしれない。でも、なにしろ彼らは身体が小さい。余計なものを与えたらそれだけで満腹になってしまって、栄養バランスを崩す可能性がある。おすすめできない。
 だから難しいと、多くの人は思うだろう。
 けれど、それは、決して不可能ではない。
 なぜなら、ひとつだけ存在するからである。
 昆虫食の爬虫類と、食べ物をシェアする方法が。
 簡単なことだ。
 こちらから歩み寄ればいいのだ。
 人間の食べ物を動物に食べさせるだけがシェアではない。逆だって立派なシェアだ。猫缶はけっこうおいしい(←)。
 イナゴやザザムシなど、昆虫食の文化は各地に存在している。中国や東南アジアでは現役の食材である。
 ならば、そっちの方向へ、飼育者の側が寄せていけばいい。
 昆虫料理研究家の内山昭一さんが書かれた『昆虫食入門』には、「世界で食べられてきた食用昆虫の例」という表が載っている。そこには、「ヨーロッパイエコオロギ」、「フタホシコオロギ」という2つの名前がしっかりと入っている。
 コオロギは食用昆虫なのである。
 だから、コオロギを食べれば、我々はトカゲモドキとも食べ物を共有することができるのである。
 今日、私は、試しにフタホシコオロギを食べてみた。
 冷凍して不動化し、油で炒め、酒と醤油とみりんと砂糖で調味した。

コオロギの甘辛炒め

コオロギの甘辛炒め

 こんな感じだ。
 意外といける。イナゴの劣化版みたいな感じだが。
 みなさまも一度試してみるとよい。
 かわいいレオパとの親密度が格段に向上するはずだ。
 むろん、調理したコオロギをレオパに与えてはいけない。

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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