投薬は大変
2016/04/09
下痢をしているやまももには、毎日薬を飲ませている。
トカゲモドキに薬を飲ませるのは大変である。
手のひらで身体を掴んで、親指と中指で頭を押さえて、人差し指で唇を開いてその隙間にシロップを垂らすのであるが、これがなかなか難しい。
当たり前だが、こんな風にされてじっとしている動物はいないからだ。
やまももは必死で抵抗する。その動きを制御するのは容易ではない。
むろん、力任せに押さえつけることは、理論的には可能である。相手はニシキヘビやオオトカゲではない。力で負けることなどありえない。
が、それにもかかわらず、というかそれだからこそ、押さえつけるのは難しい。
力加減を誤れば、文字通り一捻りで相手を殺してしまうからだ。
イグアナならむしろ楽である。こちらが多少本気を出したところでやつらはビクともしない。しかし、小さなトカゲモドキは、万年帰宅部だった私のような者の握力でも容易に握りつぶすことができてしまう。そうならないように加減しつつ、でも相手を動かさないというのはとても大変なことだ。うっかりが怖くて、つい力を緩めてしまう。ヤモリの仲間は皮膚が弱いから、やまももが身をよじって、鱗が手のひらにこすれるかさかさという音がするだけでもう恐怖である。その隙をついてやまももは手のひらを抜け出そうとする。
結果、毎日、私は何度も失敗しながら、手をシロップでベトベトにしながら投薬をしている。
猫に飲ませる方が何倍も楽。
もっと熟練したいものである。