飼育ケースの数には余裕があった方がいい。

      2016/03/18

学生の頃、所属していた研究室のルーティンワークに、実験用ラットの世話が含まれていた。

実験動物室に100匹単位で飼われているラットのケージの掃除と餌やりをするのである。

ルーティンワークの中では、もっとも大変な作業のひとつであった。

なにしろラットの数が膨大だ。多いときにはケージが60くらいあった。それらの世話をするのだから手間がかかる。

もちろん、60個のケージを1日で全部掃除するわけではない。それは無理だ。それだけに注力するならできないことはないだろうが、学生は忙しい。講義や実習や卒業研究やバイトや青春の合間にこなさなければならない中で、まる一日をラットに捧げるわけにはいかない。だから、交代で毎日5ケージずつくらい掃除をし、1週間かけてすべてのケージを綺麗にするという方法をとっていた。それでも、毎日2時間くらいの時間が必要だった。

6年生になって、解放されたときはほっとしたものだ。

ただ、大量の動物を飼育するためのノウハウはそこでたくさん得ることができたので、飼育愛好家にとっては貴重な経験だったことは間違いがない。

たとえば、ケージを掃除する方法だ。ラット当番では、ケージは掃除するというよりは「交換する」ものだった。ケージの中が汚れてきたら、そのケージを綺麗にしてラットを戻すのではなく、新しいケージにラットをまるっと移してしまうのである。汚れたケージは後で洗浄、消毒し、次の交換の時に利用する。これならば、ラットの移動が1度で済むし、別々のケージのラットが混ざることもない。掃除の間ラットをよけて置く場所を共用にしたせいで、その場を媒介として病気が広まったり、先に入れた薬物投与群のラットの糞尿が残っていて後から入れた対照群に影響を与えてしまうようなこともない。掃除の度にケージを消毒できて衛生的である。

このような方法は、トカゲモドキなどをたくさん飼う時にも使うことができる。

というか、1匹しか動物を飼っていない場合でも役に立つ。

動物を買う時に、ケージをひとつではなくふたつ用意し、交換して使うようにすれば衛生的な環境が保てるわけだ。

ケージばかりでなく、水容器やシェルターにもこの方法は応用できる。

飼育器具は多めに用意しておいた方が何かと便利だということを、私はラット当番で学んだ。

気の進まない仕事にも学びの契機は存在しているのである。

……意識高いこと書くと鳥肌が立つな。

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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