地方の手柄

      2016/03/18

 昨日は、地方住まいであることの恨みつらみを吐き出したような文章を書いたけれども、今日は反対に、地方住まいであることの利点を書いてみようと思う。
 私が飼っているニシアフリカトカゲモドキのくぬぎは、近所のホームセンターで入荷から2年近く売れ残っていたものである。ホームセンターとは言ってもペット部門がレプタイルズショーに出展するようなところだから、2年の間キープはしっかりと行われていた。そのため状態はよく、WCであるものの、購入直後から、ヒョウモントカゲモドキのこだまとなんら変わらない管理で飼育することができた。いわゆる「飼い込み個体」というやつだ。
 飼い込み個体は、飼育者にとってはとても安心な存在である。だから、専門店でも、またレプタイルズショーのようなイベントでも、「飼い込み個体だから安心」ということが個体のセールスポイントのひとつとして謳われていることがある。「売れ残りを売りさばくための常套句」みたいな穿った見方もできるかもしれないけれども、「安心」であることに間違いはない。とりわけWCの場合、入荷直後は「環境に馴染めなくてこれから弱っていくところ」だったり、「これから病気になっていくところ」だったりする危険性を払拭できないから、長期間キープしてみても危険な兆候は現れなかったという事実は重要だ。すでに別の個体を飼っているところへ新しい個体を連れてくる場合にも、致命的な伝染病を発症しなかったという事実は大きな安心材料になる。
 そのような飼い込み個体が、地方ではたくさん発生する。
 ヒョウモントカゲモドキやフトアゴヒゲトカゲといったメジャーな種を除けば、入荷してもそんなに売れないからである。少なくとも近所のホームセンターでは、ヒョウモンの回転率は高いが、ニシアフの回転率はとても低い。
 だからこそ、マイナな種、これからの種があまり流通しないわけでもあるが、一度入荷すると、たいていは長い間キープされることになり、ほとんど自動的に、飼い込み個体になっていく。アプリコットストライプアルビノのやまももでさえ、半年くらいそのホームセンターの店頭にいたのである。
 購入者は、その間、ゆっくりと、経過を見ることができる。
 明日行ったらいなくなってるんじゃないか、ということを、あまり心配しなくてもいい。
 じっくり、考えられる。
 で、問題ないな、と思ったところで、連れ帰ることができる。
 そのため、WCを買うのも、そんなに怖くない。
 それが、地方のいいところである。
 きちんとキープされていること前提で、非専門店のいいところ、と言い換えてもいいのかもしれない。

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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