やまももを超えるか

      2016/02/05

 やまももが食欲魔人で、隣や下のケージのコオロギに反応してばたばたする、という話を、このブログで何度かしたことがある。
 何度もしたのは、それがおもしろいことだと感じられていたからである。
 ニシアフリカトカゲモドキはどちらかと言えば陰気な生き物で、シェルターの中にひっそりと隠れ、人目のあるところではあまり動かないものだという印象を私は持っていた。ふじなんかはCBだけど餌の時でさえ人目があるとシェルターから出てこないし、他個体の倍量のコオロギをぺろりと平らげるかしわも、コオロギがまさにシェルターの入り口に差し出されない限り、飛び出してくることはない。むぎはわりと動きまわる個体であるが、それでも、隣のふじが食べている餌に関心を示したりはしない。だから、隣のケージの給餌の気配を察知してシェルターから走り出てくるやまももは、ちょっと変わった個体なのだろうと思い、おもしろがってブログに登場させてきた。よもや、他に同様の個体が現れるなどとは思いもしなかった。
 ところが。今日、こだまに餌を与えている最中に、「それ」が出現したのである。
 今、こだまの隣にいる、エンドレスゾーンで買ってきたばかりの新顔のにれ。
 このにれが、まだうちにやってきたばかりのにれが、やまももかと見紛うばかりの食欲魔人ぶりを見せたのだ。
 この写真を見て欲しい。

にれとこだま

こだまのコオロギを狙うにれ

 どうだろう。
 お気づきになるだろうか、ピンセットからコオロギを奪い取るこだまを、隣から凝視しているにれの姿に。
 にれは、はじめからそこにいて、たまたまコオロギに気づいたわけではない。コオロギがこだまのケージに投入されるまで、にれは自分のシェルターの中にいた。それが、隣で物音がしたとたんに、シェルターからつかつかと歩き出してきて、こだまの横に並んだのである。そしてこだまが餌を食べ終えるまで、ずっとそこで凝視し続けた。
 こだまの尻尾に食いつこうとこそしなかったにせよ、これはまさにやまももではないか。
 私は驚かざるを得なかった。
 お前もか、と。
 しかも、まだ彼はうちに来て10日も経っていないのだ。
 普通のニシアフなら、まだ人前では隠れている時期に、こんなマネをする。
 なんというメンタルの強さであろうか。
 ひょっとしたら、やまももを超えるやもしれぬ。
 そのことに私の期待は膨らんでいる。
 しかしそれは、私の大好きなやまももの凋落を意味する。
 それはちょっと悲しい。
 やまももを越える逸材が現れたかもしれないことに、嬉しいやら悲しいやら、私は今、複雑な気持ちになっている。
1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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