金銭感覚の崩壊

      2016/03/18

 金銭感覚が崩壊している。
 買った動物の値段を書くのはあまり品のいい振る舞いではないが敢えて書いてしまうと、ナゴヤレプタイルズワールドで私が購入したひいらぎの値段は25000円だった。
 25000円と言えば、新幹線で東京から博多まで行ってお釣りの来る金額だ。文芸書なら新刊でも10冊以上買えるだろう。このデフレのご時世、客観的に見て、決して「安い」と思う価格ではない。
 それにも関わらず、値札を見た瞬間の私の感想は、「うわ、やっす」というものだった。
 箱根で温泉宿に泊って観光してこれるくらいの金額なのに、全然高いと思わなかったのだ。逆に、こんなに安くていいんだぁ、なんて喜ぶくらいだった。
 「買って帰る候補」の中にひいらぎを入れることに、些少のためらいもなかった。というか、25000円だから、という理由で積極的に放り込んでいた。
 それどころではない。
 ひいらぎを上回る、3万円台や4万円台の個体も、全然アリだ、とその時私は考えていた。そのくらいの値段でもいいのがいたら買っちゃえばいいじゃないか、と。すでにトカゲモドキに対し、この5ヶ月で20万円近く蕩尽した後だというのに、4万円ならお手頃じゃないか、と思えてしまっていたのだ。
 それくらい、今、私のトカゲモドキに対する金銭感覚はイカれてしまっている。今の私にとって、トカゲモドキの「1万円」はほとんど「千円」くらいの感覚になっているのである。
 恐ろしい。
 貯金ができないのも無理はない。
 だが、もっとも恐ろしいのは、この「異常」がわずか4ヶ月の間に、私の中に発生したことだ。
 4ヶ月前、5月に行った東京レプタイルズワールド2014で、私はこんな会話を聞いた。
 

「わ、これ、3万2千円だって!」
「やっすいじゃん! 買いだね」

 このころの私は、それを聞いて、「3万円は高いだろ」と思った。同じく2万円台だったふじを、私はけっこう思い切って買ったつもりでいたのだ。
 それが今では、それよりも高い個体を平気で即決するくらいになっている。
 経済力の変化があったわけでもないのに。
 たった4ヶ月の間に、「あっち側」の人になってしまっている。
 なんということだろう。
 趣味にハマるとはなんと急激に人格を変化させるものかと、驚くばかりである。
 

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

 - 飼育日記