Keeper' Voice 企画要旨

      2016/02/05

 爬虫類飼育者の「声」を集めたいと思うようになった。
 アンケートなどで情報化される前の、なるべく生に近い肉声を、だ。
 高田栄一氏や千石正一氏といった「レジェンド」と呼びうるような方々ばかりでなく、普通の、末端の飼育者まで含めた幅広い人々の「声」を集めたいと思っている。
 どのようにして爬虫類と出会い、何を思って爬虫類と暮らし、これから爬虫類とどう関わっていこうと考えているのか。ひとりひとりの飼育者自身によって語られたそのようなことを、なるべくそのままの形で記録し、集めていくことで、日本の爬虫類文化を、より立体的に、多面的に捉えることができるのではないか、と考えたからである。たくさんの「声」を集めることで、なにがしかの「歴史の記録」のようなものを残すことができるのではないか、とも。オーラル・ヒストリーと呼ぶのは大袈裟だけれど、それに近いようなこと。
 たとえば100年後の未来から、今の時代を振り返った時に、高田栄一や千石正一といった名前しか残っていないとしたら、少し寂しいな、と私は思う。彼らがその頂に立っていた山が、いったいどんな形をしていたのか。どれほどの標高を持ち、裾野を持ち、水脈を擁していたのか。もし、その未来に、爬虫類を好む人たちが存在しているのなら、知りたいと願うかもしれない。彼らのために、その姿を記録しておきたい、と思う。
 もちろん、「そんなものは要らない」と当の未来人たちから否定されるおそれはある。けれども、一度失われてしまったものは取り戻せない以上、まずは記録しておくことは無意味ではないのではないか、と考えている。そして、おそらくその仕事は、爬虫類好き以外の人はやってはくれない。だからやろうと思った。
 言うまでもなく、私はインタビュアーとしては未熟もいいところである。話を聞かせてくださいと頼んで、すんなり受け入れられるほどの立場にあるわけでもない。それでも、できる範囲から、記録を積み重ねていこうと、この試みをスタートさせることにした。
 以降、このカテゴリーでは、このような動機から私が集めた「声」を掲載していきたいと思う。

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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