爬虫類が色を変える仕組み

      2016/04/16

 爬虫類や両生類の中には、状態や環境によって体色を変えるものがいます。
 たとえばオウカンミカドヤモリは、周囲の明るさによって体色が変わります。

暗い場所

暗い場所のオウカンミカドヤモリ

明るい場所

明るい場所のオウカンミカドヤモリ

 暗い場所では体色が薄く、明るい場所では体色が濃くなるのです。
 その他、ニシアフリカトカゲモドキなど、ヤモリの仲間は体色を変えるものが多いようです。
 フトアゴヒゲトカゲやグリーンイグアナも、体色を変えるトカゲとして知られています。その筆頭は、もちろんカメレオンですね。
 では、このような体色変化は、どのような仕組みで起きるのでしょうか?
 今日は、その仕組みを解説したいと思います。
 爬虫類の皮膚は、外側の「表皮」と内側の「真皮」の2層からなっています。体色は、これらの層に含まれる、色素胞という色素を含む細胞によって作られます。このうち、体色の変化に関わるのは、真皮にある3色の色素胞です。
 真皮層の上部には黄色素胞、その下部には虹色素胞、いちばん下には黒色素胞という色素胞が存在します。黄色素胞は、黄色から赤色の色素顆粒を含み、黒色素胞は黒色の顆粒を含んでいます。虹色素胞はちょっと特殊で、これに含まれているのは、色素顆粒ではありません。グアニンというアミノ酸の結晶です。この結晶が層状に重なったところに光を当てると、層の中で光が反射・散乱し、青い色が生まれます。この青が虹色素胞の「色」になります(青魚の色とおんなじ仕組みです)。要するに、爬虫類の皮膚には、「黄色から赤」、「青」、「黒」の3種類の色を持つ細胞が存在するわけです。これらの細胞の「見えやすさ」を調節することによって、爬虫類は体色を変化させています。
 主要な役割を担うのは、黒色素胞です。黒色素胞は、上層の黄色素胞や虹色素胞の間に枝上の突起を伸ばし、これらの細胞を包んでいます。その枝に送り込む黒色顆粒の量を調節することによって、他の2つの色素胞の「見えやすさ」変化させるのです。枝に送り込まれる黒色顆粒が少ないと、黒色素胞よりも上層にある黄色素胞と虹色素胞は両方ともよく見えます。ですから、黄色と青の2種類の色が混ざって、緑色の体色ができあがります。枝に分布する黒色顆粒が多くなり、虹色素胞が包み込まれると、青い色は黒に隠されて見えなくなり、見えるのは黄色素胞の色だけになるので、黄色〜赤色に変わります。さらに黄色素胞まで黒色顆粒に包まれると、青も黄色も見えなくなって、体色は黒くなります。

体色変化のしくみ

体色変化のしくみ

 これが、爬虫類の体色変化の仕組みです。
 なお、ニシアフリカトカゲモドキやクレステッドゲッコーには、虹色素胞が(ほとんど)ありません。ですから、「緑」の段階は存在せず、「黄〜赤」から「黒」への体色変化となります。
 カメレオンが体色を変化させる様子を見ると、とても複雑な仕組みがはたらいているように思えますけれど、基本となるのはこのようなシンプルな仕組みなのですね。それを、あんなふうに鮮やかに使いこなしているわけです。
 爬虫類の体について調べてみると、いろいろと面白いことがわかりますし、彼らのすごさを実感します。お時間があれば、調べてみると楽しいですよ。

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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