トカゲモドキの生息地を衛星写真で眺めてみる
2016/02/05
爬虫両生類の飼育指南本を開くと、たいてい、この種はこんな地域に分布している、という情報が書かれています。
生息地の情報を記載するのは、それが、飼育環境を考える上で重要なものだからです。言うまでもなく、「生息地の環境を再現する」というのが、爬虫両生類飼育の基本なわけですから。けれど、実際には、行ったことのない国の名前を教えられても、いまいちピンとこないことが少なくありません。
西アフリカ……ってどんなところだ?
そんなとき、私は理科年表と一緒に、衛星写真を眺めることにしています。
理科年表で近い場所の平均気温や降雨量の変化を調べ、その上で、衛星写真を眺めると、なんとなく、再現すべき環境のイメージが浮かんでくるからです。
ためしに、我らがニシアフリカトカゲモドキの生息地を、衛星写真で見てみましょう。ニシアフリカトカゲモドキの生息地は、カメルーンからセネガルにかけての西アフリカ沿岸ですが、そのうちカメルーンからガーナくらいまでの範囲を表示してみます。
こんな感じ。
アフリカというと、サバンナやサハラ砂漠の印象が強く、つい、「乾燥した場所」をイメージしてしまいますけれど、実際に衛星写真を見てみると、このあたりは森林に覆われた湿潤な地域であることがわかります。まるでインドネシアやアマゾン川流域のよう。これを見ると、ニシアフは多湿な環境を作ってあげないと体調を崩してしまう、というのも納得ですよね。
比較対象として、ヒョウモントカゲモドキの生息地である中央アジアから西アジアにかけての衛星写真を表示してみましょう。
こちらは、植物に覆われた場所が少なく、乾燥した地域であることがわかります。こんな場所に住んでいたら、そりゃあ乾燥にも強くてタフでしょうよ。
両者を比べてみると、同じトカゲモドキでも、全然住んでいる場所が違うのだ、ということが実感できます。ヒョウモントカゲモドキには要らなくても、ニシアフにはウェットシェルターを入れてやった方がいい、ということも無理なく理解できますね。
もちろん、写真はあくまで写真。細かな景観はわかりませんし、現地の「空気の感じ」もわかりません、でも、「西アフリカに住んでいる」という文字情報だけを覚えておくよりは、ずっと想像力をはたらかせやすくなるはずです。
みなさんもぜひ一度、飼っている生体の生息地を、ご覧になってみてください。
きっと、発見があるはずですよ。