爬虫類の皮膚について

      2016/02/22

 爬虫類は、被毛がなく、角質の鱗に覆われた皮膚によって特徴づけられています。
 今日は、爬虫類の皮膚について書いてみようと思います。

皮膚の構造

 爬虫類の皮膚の構造は、基本的には哺乳類と変わりません。大きく分けると、外側の表皮と内側の真皮の2層に分かれています。表皮はさらに、内側から基底層、中間層、角質層の3つに分かれます。

爬虫類の皮膚の構造

爬虫類の皮膚の構造

 基底層を構成するのは、表皮を作るおおもとになる細胞です。基底層の細胞が分裂し、中間層に新たな細胞を送り出します。基底層で新しい細胞が作られるたびに、もとから中間層にあった細胞はどんどん外側へ押しやられていきます。その間に、中間層の細胞は細胞内にケラチンを蓄積していきます。そして、もっとも外側に達する頃には、細胞は死に、蓄積されたケラチンの層として残ります。これが角質層です。有鱗目では、角質層は折りたたまれ、硬い鱗を形成します。鱗は、形態によって、瓦状に重なる瓦状鱗と、敷石状に並ぶ粒状鱗に分けられます。

瓦状鱗

瓦状鱗(アオジタトカゲ)

粒状鱗

粒状鱗(ニシアフリカトカゲモドキ)

 角質層を構成するケラチンには、柔軟なα-ケラチンと硬く脆いβ-ケラチンの2種類があります。ベースを構成するのはα-ケラチンです。鱗など硬い部分は、その上に、β-ケラチンの層が重なっています。カメの甲板はβ-ケラチンで構成されています。
 真皮は、弾性繊維と膠原線維(コラーゲンのこと)からなる結合組織で、血管や、体色変化のための色素胞、神経などを含んでいます。ワニ目や、有鱗目の一部では、ここに皮下骨を形成します。哺乳類と異なり、一般的に分泌腺はほとんど存在しませんが、一部の種には排出腔腺を持つものもいます。ヘビの仲間は全種が尾の基部に臭腺を備えています。

脱皮

 カメ目やワニ目では、皮膚の更新は哺乳類と同じように連続的に行われ、古くなった角質は部分的にぽろぽろと剥落していきます。一方、有鱗目やムカシトカゲ目では、皮膚の更新は不連続に行われ、全身の皮膚が短い期間にまとまって剥がれ落ちます。これが脱皮です。

アオジタトカゲの脱皮

アオジタトカゲの脱皮

 脱皮が始まると、まず、古い角質層の下に、新しい角質層が作られます。一時的に角質層が二重化するので、ヘビ類では目を覆う鱗の屈折率が変化し、目が白く濁ります。新しい角質層ができあがると、古い角質層との間にリンパ液が滲出し、古い角質層を浮き上がらせます。また、酵素によって角質そのものが溶かされていきます。このとき、リンパ液によって屈折率が補正されるので、ヘビ類の目の濁りは消えます。この状態で身体を石や木などにこすりつけると、古い角質層は体表から剥がれ落ち、脱皮が完了します。

剥がれ落ちた角質

剥がれ落ちた角質

 脱皮は、鳥類の換羽と同じように、甲状腺から分泌されるサイロキシンによって促進されます。

脱皮不全

 脱皮(皮膚の更新)が正常に行われているかどうかは、爬虫類の健康状態を把握する上での重要な指標です。脱皮が正常に行われない場合、あるいは脱皮の頻度に異常がある場合、個体の健康状態や飼育環境に、なんらかの問題があると考えられます。
 脱皮不全を引き起こす要因は様々です。湿度不足や、皮膚の代謝を促進するUBAの不足、栄養失調(蛋白質の不足)、外傷、全身性の疾患、ホルモン分泌の異常やビタミンAの過剰症など、挙げればきりがありません。ですから、脱皮不全を解消し、再発を防ぐためには、どこに原因があるのかを、きちんと特定する必要があります。
 応急処置としては、飼育環境の湿度を高めたり、温浴をさせるという方法を用います。水分によって身体に張り付いた古い角質をふやかし、取り除きやすくするのです。しかし、これはあくまで対症療法に過ぎません。繰り返すようであれば、飼育環境の見直しが必要です。

脱皮不全

脱皮不全(ニシアフリカトカゲモドキ)

温浴

脱皮不全解消のための温浴

 また、脱皮中の皮膚は傷つきやすく、感染にも弱くなります。脱皮中はとりわけ、飼育環境に気を配らなくてはいけません。

 脱皮に限らず、皮膚は、体調を如実に表す器官です。人間でも、体調の悪さは肌に出ますよね。普段から、皮膚の状態におかしいところはないか、注意深くみてあげるとよいと思います。

【参考文献】

 

1986年生まれ。幼少期より生き物と戯れて育つ。2011年、東京農工大学農学部獣医学科卒業。同年より小動物臨床に従事。在学中から、WordPressを利用してブログを書き始める。ニシアフリカトカゲモドキと出会った2014年に内容を一新、爬虫類ブログ「とかげもどきのしっぽ。」を立ち上げ、現在に至る。ニシアフリカトカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類と暮らしている。

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