温度管理

 ここでは、ニシアフリカトカゲモドキの温度管理について説明します。

何度くらいにすればいいの?

 ニシアフリカトカゲモドキは比較的高い温度を好みます。ケージ内のいちばん暖かいところで33〜35℃くらいあると、体調を崩しにくいでしょう。とはいえ、ケージ全体が35℃だとオーバーヒートしてしまいます。いちばん寒いところで26℃から28℃、暑いところで33〜35℃になるように温度勾配を作り、生体が好きな場所を選べるようにしてやるとよいでしょう。一時的に温度が下がる分には耐えられますから、帰宅したらヒーターが壊れて15℃くらいになってた! という時でも慌てずに、落ち着いて暖めてやってください。なお、ケージ内が十分に暖かければ、ケージを置いている部屋の気温が15℃でも問題はありません。

まずは温度を測りましょう

 と、いうわけで、適切に保温するためには、まず、ケージ内の温度を測らなければいけません。ケージ内、あるいはケージの付近に、必ず温度計を設置します。1日の最高気温、最低気温が記録できるタイプのものが理想的です。1日のうちでも室温は変化するので、ある時間帯に適正な温度だったとしても、別の時間帯には低すぎたり、高すぎる温度になっていることがあり得るからです。毎日朝から晩までつきっきりで見てやれるのならばよいですが、そうでない場合は、見てやれないときの温度を機械に記録しておいてもらったほうが安心なのです。爬虫類ショップや園芸店などに行けば、湿度も計測できるもの、ひとつで2箇所の温度を測れるものなど、様々な商品が手に入ります。予算の範囲で、なるべくスペックの高いものを用意しましょう。

 温度計は、ケージの床近くに設置します。ニシアフリカトカゲモドキは地上性で、高いところに登ったりすることはほとんどありません。床近くを適切な温度に保つことが必要なので、その場所の温度をきちんと測れるように設置場所を考えます。
 通常の温度計と合わせて持っておくと便利なのが、赤外線を対象に照射し、対象から跳ね返ってきた赤外線を計測して対象の表面温度を算出するタイプの温度計です。温度を測りたいものにセンサーを向けてスイッチを押すと、一瞬でそのものの温度を測ってくれます。最初に温度勾配について触れましたが、人工的に保温をしている場合、ケージ内がどこも同じ温度になることはあまりありません。ヒーターの近くの温度がいちばん高く、遠ざかるに連れて温度が下がっていきます。ですから、いちばん高いところの温度が何度で、いちばん低いところの温度が何度、と分かっていた方が安心です。しかし、通常の温度計をケージ内に何箇所も設置するのは現実的ではありません。そこで、このタイプの温度計を使って、ケージ内の各部の温度をチェックするのです。生体の体表温度も測ることができるので、きちんと生体が温まっているかどうかを直接確認することもできます。

 これらの温度計によってきちんとケージ内の温度を測れるようにした上で、保温器具を使っていきます。

保温器具の種類

 保温器具にはいくつかのタイプがあります。
 もっとも一般的に使われているのが、シートタイプのヒーターです。ケージの下に敷いたり、側面に貼りつけたりして使います。
 注意しなければいけないのは、シートタイプのヒーターには2種類ある、ということです。ひとつは、ヒーター自身が発熱し、ヒーターに直接触れているものを熱伝導によって温めるタイプ。もうひとつは、遠赤外線を照射し、それが当たったものを輻射によって温めるタイプです。

シートヒーターのタイプの違い

シートヒーターのタイプの違い

 前者は、ヒーターとケージとが直接触れていないと効力を発揮しません。ですから、プラケースのように底に足がついていて、底面が浮いているタイプのケージに使う場合には、両面テープなどで底面にしっかり貼り付けることが必要です。後者は、ヒーターとケージの間に多少隙間があっても一定の効果を発揮することができます。また、前者は備え付けのダイヤルで温度を調節したり、サーモスタットに繋いで使うことができますが、後者は温度調節をすることができません。使い方が微妙に異なるので、シートタイプのヒーターを購入する場合には、買おうとしている製品がどちらのタイプであるのかをよく確認するようにしましょう。

 輻射タイプのもの

 熱伝導タイプのもの

 大きさは、ケージの床面積の半分くらいのものを選びます。ケージの一部だけを暖めることによって、温度勾配を作り出すためです。
 トカゲモドキの用いる場合には、基本的に底面に敷いて使います。もし、それだけでは温度が上がりきらない場合には、さらに側面に貼り付けることも可能です。

遠赤外線ヒーターの使用例

基本はケージの下に敷く

ヒーター使用例

温度が上がらない場合は側面にも貼り付ける

 ケージの天井に取り付け、上から遠赤外線を照射してケージ内を暖めるタイプのヒーターもあります。みどり商会が製造している「暖突」という製品です。取り付けの都合上使用できるケージのタイプが限られてしまいますが、暖房効果はとても高いため、他の保温器具ではケージ内の温度がどうしても上がりきらない場合、ケージを交換してでも取り入れる価値はあります。

 なお、みどり商会からは、小型の「暖突」が備え付けられた「セット温」というプラケースも販売されています。

 トカゲモドキには、こちらの方が使いやすいかも知れません。
 その他には、電球タイプの保温器具もあります。光ではなく、熱を多く出すように作られた電球です。ひよこ電球のようにまったく光を出さないものから強い光も出すものまで、様々なタイプが販売されています。夜行性のトカゲモドキには、光を出さないタイプをものを用いましょう。電球の表面が非常に高温になり、触ると火傷することもあるため、取り扱いには注意が必要です。また、さまざまなワット数のものがあるので、ケージのサイズにあったものを選びましょう。
 昼行性の爬虫類の保温には、さらにバリエーションに飛んだ器具が用いられることがありますが、ニシアフリカトカゲモドキの場合はこのあたりが選択肢となります。
 いずれの器具も、故障したときに備えていくつか予備を持っておくのが理想的です。

断熱も大事

 保温においては、効果的に断熱をすることも重要です。せっかくケージ内を暖めても、その熱がどんどん外に逃げてしまっては意味がありません。
 一般的な断熱方法は、ケージに断熱材を貼るというものです。発泡スチロールなどをケージの底面や側面に貼ることで、保温効率は飛躍的に上昇します。シートタイプのヒーターを使う場合、ケージと断熱材でヒーターを挟むようにすると、同じ出力でもより高い温度を維持することができます。
 直接断熱材を貼るのではなく、ケージを発泡スチロール製の箱などに入れることも方法のひとつです。この場合は、箱を密閉してしまうと酸欠死するおそれがあるので、適度な通気を保つよう注意します。

ケージの置き場所も大事

 ケージを部屋のどこに置くかということも保温の上では考慮しなくてはいけません。
 冷たい空気は下に溜まり、暖かい空気は上に溜まります。ですから、あまり低い場所にケージを置くのは危険です。少なくとも、フローリングの床などに直置きにするのはやめましょう。トカゲモドキに限らず爬虫類は上から覗き込まれることを嫌いますから、人の腰から胸くらいの高さにケージを置くのが理想的です。
 また、気温が大きく変化する窓際や、エアコンの風が直撃するような場所も避けましょう。

エアコンと温室

 ケージの数が増えてくると、ひとつひとつのケージをそれぞれ保温するのは大変になってきます。100個のケージをそれぞれ保温するためのコンセントを確保するのは容易ではありません。
 また、飼育部屋の温度があまりにも低く、ケージをどれだけ保温しても追いつかないということもあるかもしれません。
 そのような場合には、エアコンや、観葉植物用のガラス温室の使用を検討します。エアコンで部屋全体を暖めたり、温室にケージを収納し、まとめて暖めるようにするのです。温室にケージを収納することは、断熱効果ももたらします。

 小さなケージの場合には、大きめの水槽やガラス製の爬虫類専用ケージを温室代わりに使うこともできます。

夏場は冷やす

 以上は、冬場に「温める」ことを念頭において書いてきました。
 しかし、温度管理が必要なのは冬だけではありません。
 夏場には、逆に「冷やす」ことを考える必要があります。
 夏場の室内は、熱帯に暮らすニシアフリカトカゲモドキにとっても厳しい暑さになってしまうからです。
 温度の上がりすぎを防ぐためには、以下の方法があります。

エアコン

エアコン
 暑さ対策の筆頭は、やはりエアコンです。日の当たらない北側の部屋でも30℃を超えるような日本の夏において、もはや、爬虫類飼育の必需品とさえ言えるでしょう。特に飼育数が多く、部屋ごとまるっと冷やしたいときには、これ以外には選択肢はありません。
 エアコンを使うメリットは、同時に湿度も下げられることです。空気は、暖かければ暖かいほど、たくさんの湿気を含むことができます。逆に冷たい空気は、あまり湿気を含むことができません。エアコンは、室内の暖かい空気を吸い込んで室外機で冷やし、それを室内に戻しています。室外機で空気が冷やされたときに、空気の中にとどまりきれなくなった湿気が水として捨てられるので、その分、部屋の湿度がやや下がるのです。高温でかつ蒸れることが飼育動物にとっては最悪の事態ですから、温度、湿度ともに下げることのできるエアコンはやはり理想的な道具なのです。
 私のうちでは、基本的に28℃設定で24時間、エアコンをつけっぱなしにしています。電気代を心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、それほどでもありません。設定温度になれば自動的に切れるので、24時間電源を入れていても、24時間働き続けているわけではないからです。
 実際、日中、暑くなってからエアコンをつけるよりも、朝、涼しいうちからつけておいた方が節電になることがわかっています。高い気温を設定温度まで下げることの方が、設定温度を維持し続けることよりも、大きな電力を必要とするからです。
エアコンは暑くなる前からオンにすると節電効果あり? - BTOパソコン.jp

 電気代に怯まずに、どしどし使った方が、実はお財布にも爬虫類にも、優しいのです。
 扇風機やサーキュレーターを併用すればより効率的に部屋を冷やすことができますから、活用しましょう。

素焼きのウェットシェルター

ウェットシェルター
 トカゲモドキ飼いのみなさまにはお馴染みであろう素焼きのウェットシェルター。このシェルターは、局所的に温度を下げるのに役立ちます。
 上部の水入れに入れられた水は、シェルターの中に浸透していき、表面から蒸発していきます。この時、周辺の空気から少しだけ熱を奪っていきます。それによって、周辺の温度が下がるのです。打ち水をすると涼しくなるのと同じ原理ですね。
 ただし欠点は、水分を蒸発させているので、その分湿度が上がってしまうこと。冬場の乾燥する時期にはメリットになるのですが、もともと湿気の多い夏場にはデメリットになりえます。蒸れにつながるからです。また、湿度があまり高いとそもそも水が蒸発しにくく、温度が下がらない、ということもあります。効果的に使うためには、風通しをよくしておくことが必要です。

冷却ファン

 そこで登場するのが冷却ファンです。PC用のものを改造してもよいですが、観賞魚用のものを流用するのが簡便でしょう。

 これを、風がケージの中ではなくケージの外へ流れるように、換気扇のイメージでセットすると、ウェットシェルターから蒸発した水分がケージ内に籠もるのを防ぐことができます。
 また、大きめの水入れを用意して、その上部でファンを回すようにしても、同様の効果が得られるかもしれません。

氷、保冷剤

 停電でエアコンや冷却ファンが使えない、というときや、暑すぎてそれらを使用していても温度が上がってしまう、というときに急場を凌ぐために使えます。ケージの外側に巻いたり、トラブルの起こる恐れがなければケージ内においてもよいでしょう。メキシコサラマンダーを飼っていた時は、水槽によく氷を浮かべていました。
 小型の種であれば、保冷剤と一緒にケージごと発泡スチロール製の箱の中に入れてしまう、という方法で1日保たせることができるようです。
うちのウパ 例年のように・・・保冷箱

 このブログの方は、有尾類を飼われているため16℃程度まで冷やしていますが、加減によって28℃程度でキープすることもできるかもしれません。

簾、遮光ネット

 南向きの部屋の場合、そもそも部屋に入ってくる熱を減らす、ということが大事です。それによって、エアコンによる電力消費もぐっと抑えることができます。また、屋外飼育をしている場合には、飼育スペース内に直射日光の当たらない場所を設け、生体が逃げられるようにしなくてはいけません。その際に、遮光ネットが役に立ちます。遮光ネットで窓を、あるいはベランダ全体を覆い、直射日光を遮ることで、ベランダ、室内に熱が籠もるのを防ぐのです。
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 以上が、ニシアフリカトカゲモドキの温度管理の概要です。ご自宅の環境に合わせて、これらの方法を組み合わせ、快適な温度環境を作ってあげてください。

公開日:
最終更新日:2016/05/08